死に至る病
JUGEMテーマ:陶芸
道具が非常に沢山必要なのが陶芸。
こだわりだしたら恐らく何百種類は使用しているんじゃないでしょうか。
(1回も使わないもの。1回も使えないもの。多々)
うつわの成形時に使用する牛ベラや、口を成形する鹿皮(しかがわ)、高台を削るカンナに拘るのは勿論のこと。
文具店や日曜大工の専門店などで、これは陶芸に使えるかどうか、また、ある表現をする為に
これは使えるのではないか。そういう視点でウロウロしだすと、それは紛れもなく陶芸病です。
(腕に後天的な聖痕とかはありません。鼻からも吸ってないです。)
マスキングテープが必要な場合、およそ粘着性のあるものはほぼ購入して試してみるといった症例。
カッターやハサミ、スポイト、木板、ボード、針金、分度器etc大体目に留まるものは買う必要を迫られる症例。
これは紛れもなく死に至る病。キルケゴールも発症するときっと死にます(未読)。
理由は明快。日常生活を陶芸に浸食(汚染)され過ぎて、精神が病んで死にたくなるからです。
(ほんっとにくその役にも立ちませんでした。でも懐かしい手触り。
やや心がほぐれたので先の表現は誤り。)
私は残念ながら発症してしまっているので、症状を抑える為に、買った釉薬の本を敢えて読まないとか、
文具店にどうしても用の無い場合近寄らないといった事で平静を保っています。
(最近は普通の本が読めないという重篤さ)。
このブログを読まれている方がもし発症してしまった場合、軽く考えず適切な対処を行って下さい。
個人的には、心を無にする為にろくろ轢いたり、気分転換に高台削ったりするのがお勧めです。
(↑の画像を(出来れば一日一回)クリックして頂けると、本当に非常にとてもありがたいです)
撥水剤昔のが良かったですよね?
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作陶の必須アイテム。撥水剤。
以前は蝋にうつわの底部をつけて釉薬をはじいていたそうですが、
現代陶芸においてはこれ。
(側面のはそれは自分の名前ですよ。小学生からの躾の賜物)
撥水とは水をはじくという意味ですが、
陶芸においては*釉薬をマスキングする(はじく)為のものという意味になります。
*そもそもなぜこんなものを塗るのかという疑問をお持ちの方へ。
やきものは焼く際に、セラミックの棚板の上で焼くのが一般的ですが(例外多々あり)、
釉薬が棚板についてしまうと、癒着してしまい取れなくなるのです。
(こうやって釉薬がかかりたくない部分に塗っていきます。焼成すると揮発して素地のままの質感になります)
マスキングとしての役割は全く問題無いのですが、液体が伸びないんですよね。
だからいっぱいつけたくなる、いっぱいつけると垂れるリスクが上がるんです。
(粘着性が全くなく、水の様な液体ですので、垂れるとその部分に釉薬がのらなくなります)
やはり新旧で成分が全く違っていました。
何がどう違っているのか、それを知っても全く知らないのと同義なので割愛。
(恐らくはより安全になっているか、コストが低くなったのかといったところでしょう。)
また、別の容器に移すにも以前はクチバシの様なものがついてきていたのが無くなっています。
色々微妙に不便ですが、慣れるしかなさそうですね(毎回1つ2つ垂らすんですよねー)。
手につかない様にと注意書きがありますが、毎回手につけ散らかし。
マスクしろとありますが、臭いかぎ散らかし。
最高にhighってやつになりかけで塗っています。
(↑上の画像をクリックして頂けると大変励みになります。)
釉薬を仕込む
高温で焼成する事で、丈夫で光沢のある器になります。

(長石)
では具体的にはどの様な成分で構成されているのでしょうか。
今回仕込んだのは、「蜜柑灰釉」を基調とした鉄釉。
うちでは蜜柑Aと呼んでいます。
成分は上記の長石に、蜜柑灰と鉄です。
作りはシンプルですが、焼成や素地との兼ね合い、
同じ蜜柑灰でも部位や採取場所の違い、長石のロットの違いでもかなりブレがあり、
安定させる事はかなり困難です。

(左から、蜜柑灰、雑木灰、藁灰、樟・白樺灰、不明な灰、不明な灰、不明な灰)
また最近は灰を入手する事も結構大変で、
鉄分の少ない蜜柑灰を安定して入手する事は出来なくなりました。
(お片付けの苦手な親父故、何の灰が何処にしまっているかがわからず、そこにあってもそこに無いのと同じなのです)

(左側が今回ご紹介した蜜柑灰釉薬、右側が鉄釉(黒色))
後は、水を擦切りまで入れて下準備完了(それ故にむちゃくちゃ重くなります)。
電動で回るローラーの上に置いて、夜の間中回し続け、
翌日、濾して水切りをします。

陶芸の道具紹介5〜ラテックス〜

(俺たちのマストアイテム!それがラテックス)
陶画のりとなっていますが、マスキングゴムです。
釉薬や呉須や化粧土が掛からない部分を作る為に用いるもので、
やや粘度のある液体ですが、乾くとゴム状になるという少し変わった性質があります。
ラベルが汚れているのは、私が怠惰だから。それを拭かないのも私が怠惰だから。

(もう片方は洗剤。ママレモンみたいな奴です。)
白濁した液体はまるで牛乳の様ですがもう少しドロッとしていて、
臭いはなかなかにスパイシー。マイルドなアンモニア臭がします。
マイルドなホンオフェと言っても可(食した事はないです)。

(筆の寿命は短い。ゴムの性質がある為、毛に絡んでダマになります)
これを筆につけて、頻繁に洗剤で洗いながら、作品に塗っていきます。

(暫くすると固まって、ゴムになります。)
例えばこんな感じに。
陶芸は撥水剤にマスキングテープにラテックスにと、マスキングするものが沢山あるのですが、
その各々の状況とマスキングするものによって使い分けが必要となります。
ラテックスが一番活躍するのは、素焼き前の生の状態の時。
テープがつきにくいのと、剥がした後にも色々出来るというのがポイント。
ただ筆で塗る為、直線系のシャープな表現は少し苦手です。
また塗布が薄過ぎると綺麗にゴム状になって剥がせなくなるので、
ある程度厚塗りしなければいけません。だから細やかな表現も苦手です。
故に、その特性を活かして色々作品に表現する事が陶芸作家の腕の見せ所とも言えます。

(ラテックスを塗った作品の表側。この貧相な写真では細かいところまでわかりませんね。)
といっても、私そんなにラテックスは得意ではないですw(苦手でもないですが)
もっとラテックス捌きを堪能出来る作品があれば良かったのですが、
見切り発車的お題だった為(一日一ブログの弊害)、ご用意出来ませんでした。すいません。
なんか面白い作品があれば、それはまた機会をみてUP致します。

陶芸の道具紹介4〜カンナ〜
MYカンナ。
何れ削った作品の違いをUP致します。
今回はカンナのみの紹介です。

(錆と土の汚れが酷い(笑))
一番平たくて薄いカンナです。一番底を削る時に主に使うカンナです。
大きな作品を削る時にも大体これ。削り味を出す為のものでなく、単に削る事を目的にしたカンナです。

(私のエースカンナ)
立ち上がりの部分と底のくり貫きに使用するカンナ。
上下で長さが違っており、作品の大きさによって使い分けます。
角度が鋭利過ぎない様になっていて、暖かみの残る削り味になります。
また先に行く程細くなっているのは、削った土の逃げ道で、それによって抵抗が少なく削れます。

分厚く、角度も急ではない為、荒々しく且つ暖かみを重視した削り味になります。縮緬高台(器の一番したの側面が
毛羽立った様になる削り方。粒子の粗い土を使わないとならない)にしたい場合もこれ。
幅広く小回りがあまり効かない為、茶碗やぐい呑みなどの“ありがたい系”に使用します。
大作にも使用します。

(父親の所有物)
茶碗の底をくり貫く専用のカンナ。
偶に拝借します。角度がかなりある為、高台の指のかかりが良くなる削りになります。
また上部がかなり細い為、抵抗も少なく使い勝手も良い一品。
大体上記の4種類を使い分けて使用しています。
カンナ一つでも人様のものを借りると全然勝手が違うのでしっくりきません。
手足の様にとまでは行かないにしても、それ特有の特性が
自分の感覚に沁み込んでいるのだろうと思われます(特に上から2番目)。
これからもっともっと使い込んでいくと、恰も延長された手の様に感じる様になるはずです。
幻肢痛(無くなった手足に痛みを感じる現象)とは逆に、
カンナが落ちて痛みを覚えたり、カンナが痒くなる様になるまで頑張る所存です。

(お手数でなければ、この上の画像をクリックして頂けると大変嬉しいです。)